ぼっち☆ぼち

アラフィフおひとりさまの、他愛もない長〜い独り言です。

哀しい

先日の、市川猿之助さん一家の事件が、まだ尾を引いています。

何も知らない人には格好のスクープなのかもしれませんが、歌舞伎好きな私としては、本当にやり切れない気持ちでいっぱいになってしまいます。

明治座の公演は、引き続き行う、という事。夜の部は中村隼人くんが、昼の部は市川團子くんが代役を務めるようです。

隼人くんはこれまで、猿之助さんの公演に数多く出演されていますし、今回の役を千秋楽に演じる予定だった事もあり、ほぼ問題ないと思いますが、まだ19歳で、いきなり大役を任される事になる團子くんは、本当に大変だと思います。更に澤瀉屋としてのプレッシャーもハンパないでしょうが、師匠でもある猿之助さんがいない中、何とか乗り切って欲しいです。

思い出したのは、あれは10年以上前、勘九郎(当時は勘太郎)さんが、急遽勘三郎さんの代役で、初役の夏祭浪速鑑の団七を演じる事になり、ご本人は一生懸命勤めましたが、評価は決して芳しくありませんでした。でも私にとって、あの博多座の団七がターニングポイントとなり、歌舞伎にハマったのです。その後の活躍は言うまでもありませんし、2年前のコクーン歌舞伎で、念願の団七が見ることが出来たのです。

なので、團子くんのことは温かく見守って欲しいし、今は大変だろうけど、10年経ってから大きく成長して、あの時はああだったね、と振り返られるようになって欲しいです。

歌舞伎の公演を行うこと自体にも、色々な意見があるようですが、事態がはっきりしない限りは、続ける事を止める事はないと思います。何か好き勝手に「人殺し」などと心無い事を書く輩がいらっしゃいますが、多分私達の知らない内なる事情がありそうですし、興味本位に煽るような記事を書くのは本当にやめてほしいです。

昨日のブログにも書きましたが、今の歌舞伎界には欠かせない方です。自らの公演が魅力的なのもそうですが、とにかく後輩たちの育成と言うか、演じる機会を1番多く与えてくれている役者さんです。今月の公演もそうですし、他にも「ワンピース」や「新版オグリ」など、数多くの役者さんを抜擢して使っています。某歌舞伎役者さんのように、限られた身内しか起用しないのとは大違いです。

どちらかと言うと、決して歌舞伎役者として恵まれた環境ではなく、それこそ努力と実力で這い上がった方で、新しい歌舞伎座が開演されてから、ずっと歌舞伎座での公演がありませんでした。それでも腐らず、他の劇場で地道にコツコツ頑張ってきたのです。それが実を結び始めたのは、ごく最近。次から次へと新作や話題作を手掛けて成功させ、今では歌舞伎界には欠かすことの出来ない存在になりました。多分、今一番客を集められる役者だと思います。だから松竹始め歌舞伎界にとっては本当に痛手だと。

それだけに、今回のことが本当に信じられなくて。個人的には好きでも嫌いでもない、ただ才能は素晴らしく、まさに歌舞伎座の革命児、と言うのがこれまでの印象です。だから、何があったのだろう、と言う思いが頭から離れません。恐らく歌舞伎ファンや猿之助ファンのほとんどがそうだと思います。

この先、色んな事が明るみに出て、自身の処遇始め決まると思いますが、どんな事態になっても、私はずっと猿之助さんの歌舞伎役者としての復帰を待つつもりです。このままではもったいなさすぎます。そして無念すぎます。

ごめんなさい、つい語ってしまいました。ひとりでも共感して下さる方がいますように。