先日、待ち望んでいた舞台を観に行きました。
これは以前、劇団☆新感線版で幸四郎さん(当時染五郎)主演で演じられたものを、今年歌舞伎バージョン(歌舞伎NEXT)で復活させたものです。
オリジナル版は正直、苦手なタイプの作品でしたが(ダークサイド満載で、結構残虐な場面がある)、歌舞伎バージョンならきっと、そこまでじゃないだろうと勝手にタカを括っていたのです。
まぁ、新感線バージョンよりも見やすかったのは事実ですが、思っていたよりオリジナル版を踏襲していて(よくも悪くも)、正直後方席で良かったかな、と思いました。宙乗りも観れたしね。もちろん至近距離で観たい場面や演者もいましたが、そこはオペラグラスで堪能しました。
やはり幸四郎さんのライでしょう、と言うことで、幸四郎さんバージョンを観劇。ただ、観終わった後、松也くんバージョンも見たくなりました。多分色々変化あるだろうなー。いつかWOWOWか衛星劇場かシネマ歌舞伎でして欲しい。
感想は。元々新感線の舞台だった事もあるのですが、「阿弖流為」よりは新感線カラーが色濃かったような気がします。あと、確かにシュテンが男だったりとか、小さな変化はありましたが、ほぼ新感線の舞台観だったかなと言う印象でした。
それはそれでアリなのですが、ただもう少し、歌舞伎色を濃くしても良かった気もします。「阿弖流為」の時は、その辺のバランスが良かった気がしただけに、余計そう感じました。
個人的にはやっぱり「阿弖流為」が好きすぎて、どうしても比べてしまいます。それでも今回の舞台には「阿弖流為」経験者が多く、頼もしかったですが。それプラス松也くん右近くん猿弥さんのように、比較的新作歌舞伎や歌舞伎以外の、舞台経験豊富な面々がうまく混ざり、更に時蔵さん染五郎くんと言う、美しく才能ある面々も加わり、それぞれが持ち味や個性を活かした、見応えのあるものになりました。かなり体を張って、持ち味を発揮していましたね。
幸四郎さんは、さすが以前やっているだけあって、体の芯までライになりきっていました。以前に比べて貫禄と言うか骨太さを感じました。心配だった殺陣も、かなり頑張っていましたし。多分単独だったら体持たなかったと思います。まぁ、50過ぎているから無理もないけど。それでも、幸四郎さんよりも年上で、更に恰幅のいい猿弥さんは、軽快に殺陣されていました。猿弥さんはさすが、澤瀉屋で鍛えられているだけあって、殺陣さばきが様になっていました。猿弥さんと亀蔵さんのおふたりが、いい味出していましたね。あぁ言う、味わいのある、上手い役者さんが脇を固めているのが良いですね。あと宗之助さんも。
それでも今回は、若手大活躍の舞台と言っても過言ではありません。この前も書いたけど、染五郎くんの佇まい、殺陣の素早さ、美しさは完璧に近く、あと台詞回しも上手くなっていました。実は今回が生で拝見するのが初めて。いやー、皆さんが良いと仰っているのがよく分かったわ。幸四郎さんとはまた違った良さがありますね。いつかライがやりたいと仰っているようですが、そう遠くないかもしれません。これからがとても楽しみです。
もう1人凄かったのが右近くん。元々才能ある役者さんでしたが、更にパワーアップした感じ。何と言うか、どんな役でも自分のものに出来る器用さと、身体能力は本当に素晴らしい。もし染五郎くんがライをやる時、Wキャストでやるなら、この人とやって欲しい。キンタはオリジナル版では、阿部サダヲさんがやられていましたが、一見チャラいけど、誰よりも忠実で心が真っ直ぐなキャラが合っていて良かったです。
今回楽しみだったのが、時蔵さんのツナ。今回のキャストの中で、1番意外性があったので、どんな風に演じられるんだろう、と楽しみにしていました。歌舞伎では何度も拝見した事があるものの、何故か立役を演じる機会が多かったんですよ。今回も、勇敢な女性と言うことで、ある意味男らしいとも言えますが、それでも女形らしい雰囲気と、勇敢らしさとがうまく合わさって、何と言うか時蔵さんでなくては、と言う雰囲気を醸し出していました。個人的に、この方の古典的な佇まいが好きで、今回改めてその美しさを間近で見て、いいなーと思いました。今度はガチで、古典の女形を見たいな。
もう1人の女性役がシキブ役の新悟くん。ご本人も仰っていましたが、「阿弖流為」では、オリジナル版とは違うイメージの役どころでしたが、今回はオリジナル版にほぼ忠実で、かなり役作りに苦労しただろうなと思われます。だって、結構笑いの要素強いし(ちなみにオリジナル版では、高田聖子さんが演じられていた)。でも彼らしく真面目に演じられていたと思います。個人的にこの人は、もう少し感情を抑えた役どころがよく似合うと思います。
オオキミ役は彌十郎さん。貫禄があるけど、ちょっと頼りないキャラはまさにピッタリ。今回親子で夫婦(但し訳あり)を演じられていますが、結構珍しいかも。最近この方は、テレビや映画の出演が目立っていますが、もう少し歌舞伎で起用してあげて欲しいです。多分今回のキャストの中で、1番生で拝見した回数が多いのは彌十郎さん、と言うほどよく拝見していますので、また歌舞伎で見たい。
最後はハッピーエンドではなく、悲しい終わり方でしたが(しかも何人も残虐な死に方をしているし)、こう言うのもアリなのかもしれません。そう言えば今年新感線で公演された「バサラオ」も、そんな感じだったな。いのうえさんや中島さんは、ダークサイドなストーリーが好みなのかしら?たまにならいいけど、やっぱりハッピーエンドとまでは言わなくても、せめて演者が多少は報われるストーリーが好みです。それでも久々に殺陣を満喫したし、活きのいい若手を多く見れたし、幸四郎さんは何だかんだでカッコよかったし、観に行って良かった。運よく観に行った日から写真の販売があったのですが、見ただけで買いませんでした。その代わりと言っては何ですが、筋書(パンフレット)を買いました。普段買わないのですが、新感線の筋書はなかなか良い出来だし、読んで楽しいので(いつもは姉が買うのを読む)。まだ半分程しか見ていませんが、年末年始にでもゆっくり見るつもり。
その前に、20日の配信見なくちゃ。こちらも楽しみー。でも中村屋の番組と被りそうかも、です。ついでにそれスノもあるし(最近ゆるーくだけどSnowMan推し)。金曜は何かと見るものが被ってしまいます。どれを見よう?配信もしばらくアーカイブがあるので、週末にうまく見るつもり。
良かったけど、やっぱり「阿弖流為」には敵わないな。あと、第3弾も楽しみ。個人的には「髑髏城の七人」あたりが見たいかなー。